相対音感とはどんなタイプの音感なのか

相対音感とはどんな能力のことを指すのか

「絶対音感」という言葉はよく耳にされますが、「相対音感」という言葉にはなじみがないという方も多いのではないでしょうか。日ごろ音楽に携わっている人でなければ分からないということもあるでしょう。

相対音感は英語に訳すとrelative pitch(レラティブ・ピッチ)です。絶対音感は、その音を聞いたときにドレミなどの音名を即座に正しく答えられる音感のことを言います。相対音感は歌声や楽器が奏でる音を聞いたときに即座に音名を答えられないものの、基準となる音を最初に聞いた上で音名が答えられるという能力です。このような能力のある人を相対音感がある人と言います。

例を挙げると、一つの音を聞いたときに絶対的な音名を答えるのは難しいけれど、次に聞いた音と比べてさっきの音が高かったか、もしくは低かったのかが判断できる場合は相対音感があるということです。

人間は、生まれ持って相対音感があると言われています。しかし、普段何気なく過ごしているとその能力を使う機会がほとんどありません。そのため、能力が備わっていることに気付かないことが多く、音感を伸ばすことができなかったり衰えてしまったりすることもあります。逆に、鍛錬することにより、その能力を高めることも可能ということになります。絶対音感のように、幼児期の訓練によって身につくものではないので、どのような年齢の方でも訓練によって相対音感の能力を高めていくことが可能です。

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相対音感があることはメリットなのか

もともと自分に備わった能力なら、その能力を鍛えてみたいと思う人もいることでしょう。相対音感の能力を高めることができれば、音の高さはもちろんのこと、音の前後関係や和音などの複数の音の関係性もすぐに把握できるようになるので、スラスラと楽譜を読んだり覚えたりすることができるようになるでしょう。

相対音感の能力が高度に備わってくると、絶対音感に近い形で、耳で聞いただけの音楽をそのまま歌ったり、楽器を演奏したりすること(耳コピ)も可能になります。これは大きなメリットと言えるでしょう。手元に楽譜がなくても歌えたり演奏できるようになるので、ふとしたときに耳にした曲が歌えるようになったり演奏できたりすると、音楽の楽しさが何倍にも増えていきます。

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相対音感は訓練次第で身につくものなのか

相対音感は誰でも鍛えることができます。もちろん年齢は関係がありません。子供から大人まで、誰でもソルフェージュを通じた音感トレーニングを重ねることで身につけることができると言われています。

例えば音楽関係の高校や大学に入学することを希望していると仮定しましょう。入試のときに聴音に関する問題が出されることがありますが、多くの学校ではト長調やハ長調のように調の種類、さらには主音や主和音が予め与えられて答えることになるため、相対音感が備わっていれば難なく問題を解くことが可能です。

日本の音楽教育において、義務教育の段階では相対的な音程感覚を育てることを目的にしています。そのため、移動ド唱法などが用いられています。例えば、ドレミの歌の音階はドーレミードミードーミーとなりますが、これをミから始めるとミーファソーミソーミーソーとなり、ハ長調の歌をト長調に変える固定ド唱法です。移動ド唱法はミから始めてもドーレミードミードーミー歌うことを意味していて、主音になるのはあくまでもドというわけです。義務教育のような教育の場では、相対音感を身につけるために移動ド唱法を採り入れることもあります。

ただし、音楽の専門的な教育機関では、固定ド唱法を採用することがほとんどです。そのため、最初に基準になる音を聞くことから始めます。最初に音を聞くことで正しい音を判断できるようになります。必ず軸となる基準の音を鳴らしてから聴音を始めましょう。その他に、楽譜を見ながら声を出して歌うレッスン(視唱)も効果があることが分かっています。この場合も先ほど同様に、ピアノなどを使って音を確かめながらレッスンを継続すれば、相対音感の能力を高めることができます。どちらも繰り返しレッスンすることで年齢問わず鍛えられますので、根気よく続けていきましょう。聴音の訓練を通じて、自ら音を聞き取って楽譜が書けるようになる能力も備わります。

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ピアノで実践的に相対音感を身につける

より実践的に相対音感を身につけるには、ピアノを習うことがおすすめです。ピアノは予め平均律で調律がされている音程が定まっている楽器ですので、例えば、歌やヴァイオリン等のように自分の音感を頼りに音程をつくる必要がありません。基準となる音が予め定まっているので、ピアノの演奏者は音程を意識しなくても、楽譜を読んでピアノを弾いていく間に自然と正しい相対音感が身についていく効果が期待できます。

また、ピアノの鍵盤は、低い音は左側に、高い音は右側に、というように1つ1つの鍵盤が低い音から高い音に向かって順番に並んでいます。つまり、誰でも容易に高い音と低い音の相対的な関係性を鍵盤の位置を目で見て確認することができます。これが他の楽器と比べてピアノが相対音感を自然に身につける上で有利なポイントの1つです。

音楽大学などの専門的な教育機関でも、どの楽器を専門とする場合でも副科ピアノという形でピアノを学ぶことがほとんどです。ピアノを学ぶことで、相対音感だけでなく、和声や複数の旋律の関係性などにも触れることになり、音楽の基礎を総合的に学ぶ上では最も効果的な楽器だといえるでしょう。

相対音感に特に効果的な練習方法として、スケール(音階)、アルペジオ(分散和音)を24の全ての調性でマスターすることでしょう。これは、相対音感だけでなくピアノの基礎技術の習得としても欠かせない訓練といえます。

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