絶対音感を身につけるためには早めに音楽教室へ

絶対音感の意味と、その能力がもたらす影響

私たちが音の高低を認識する能力、いわゆる音感には大きく分けて相対音感と絶対音感の二つのタイプがあります。絶対音感とは、聞こえてきた音をドレミなどの音名で言い当てることができる能力で、遺伝や家系とは関係のない後天的な能力です。小さい時に音楽に触れると脳が通常より発達するというデータがあります。

2歳頃から6歳頃までに楽器を習うなどして訓練すれば身につけることができますが、大人になってから身につけるのは難しいと言われています。この能力は、直接的に音の高低を認識するのが可能なので、高精度のスキルで難しいメロディーを言い当てられます。

その他にも、音の高低を自由に他の音と比べることもなく認識することができます。一般的に人間の脳は、音楽のように芸術的な分野や想像力を活発にする時に右脳が働き、計算をしたり文章を作成したりする、また言語を習得するような時は、左脳が活発に働くと言われていました。

しかし、最近の脳科学の研究によって、絶対音感を持つ人の脳は左脳の側頭平面が右脳の側頭平面の2倍近くあることが分かり、脳の発達との関係性があると言われています。絶対音感を身につけてその能力を育てていくことによって、脳の発達の向上にも大変良い影響をもたらし、ひいては子どもたちの集中力や記億力や言語能力を養っていく意味でも非常に効果的です。

絶対音感は個人差がありますが、その能力を習得するのに最低でも1年半から2年はかかります。一人一人の能力の度合いによって違ってくるので、その人に合ったトレーニングや練習をしていく必要があります。

絶対音感を身につけるメリットと適切な時期

絶対音感を身につけておくと、どんな調でどんな和音を使って曲が構成されているかが分かるので、パーフェクトに再現することのできる確率が高くなります。また楽譜がないからと言って困ることもありません。音楽に携わる場合、例えば楽器を演奏するのも上達が早いです。

楽器のチューニングが必要な場合は、瞬時に対応することも可能です。歌う時にも、優れた音感を生かして正確にメロディーに沿って歌うことができます。

絶対音感は、音楽に関すること以外にもさまざまな場面で役に立ちます。音楽にとって欠かせない要素にリズム感がありますが、リズム感のある人は音楽を聴いて体で表現するバレエやダンスでも、勘の良さから力を発揮します。外国語を習う場合も、聞き取る力が優れていると外国語独特のイントネーションを正確に聞き取ることができるので、覚えも早く発音もきれいな傾向があります。

大人になって音楽の道に進まない場合も、脳の神経回路が他の子より発達しており集中力があるため、専門職やスポーツ関係、芸術関係に進んで才能を発揮する人も多く、あらゆるジャンルで活躍する可能性を持っています。絶対音感は、将来さまざまな分野で活躍できる可能性を秘めた能力です。

絶対音感を身につけるのに適切な時期は幼少期です。幼児の脳はいろいろなことを吸収するのに秀でています。音階を正確に把握しスピーディーに音楽を理解する能力を脳にインプットさせるのには最も適していると言えるでしょう。

その時期を逃すと身につけるのは難しくなります。その他の必須条件として、環境を備えて日々のトレーニングを積み重ねておく必要があります。

絶対音感を身につけるためのトレーニング方法とは

絶対音感を身につけるためには、音と音符の関係をよく知り音に関して正しく把握する力、五感で感じる音をメロディーや音符に換える力が必要です。

そのためには、いろんな音を聞くことが大切です。たくさんの音を繰り返し聞いているうちに、正しい音が把握できて音楽への理解も深まります。耳に入る生活音が、自然と音符のように変換できるようにもなります。聞こえてくる音を楽器で演奏して表現すると、正しい音を聞いたり生活音を音楽に変換したりするのに大変効果があります。

早期教育も、絶対音感を養うのに重要です。赤ちゃんの時には、親子で一緒に音楽を聴きましょう。お子さんが音楽になじんできたら、ベルやラッパのように音の出るおもちゃで遊ばせてください。

もう少し大きくなったら、楽器の種類を増やし、いろいろな音に触れさせます。そしてお子さんが音楽に興味を持つようになったら、音階を教えてあげましょう。

この段階では、音階の位置を知っておく程度で良いです。音楽を楽しんで音楽好きになってもらうことが絶対音感を身につける近道です。

お子さんが音楽に関心を示すようになったら、音楽教室に通わせるのも一案です。音楽教室では、和音を聞く練習から始め、覚えた和音を一つの音に分けて区別できるようになれば、音の域を広げても理解できるよう訓練していきます。そのため、絶対音感を養うのに最適な環境です。

レッスンの方法は、音に集中するために、担当講師に個人の音楽の能力を把握してもらう点で個別レッスンが良いでしょう。毎日の積み重ねが不可欠になるので、保護者も一緒に練習に付き添うといった体制も必要となります。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」

音楽教育のススメ(幻冬舎)