年末が近づくと、日本各地で演奏される「第九」。あの壮大な合唱を、いつか自分も舞台で歌ってみたい、あるいは楽器で演奏してみたいと憧れる方は少なくありません。
この記事では、第九とはどんな曲か、そして時代を超えて愛される理由に触れたうえで、市民合唱団やオーケストラへの参加方法、歌や楽器で参加するための準備、大人から第九を目標に音楽を始めるコツまでを、わかりやすく解説します。
「第九」とは、ベートーヴェンが晩年に完成させた交響曲第9番(作品125)のことです。全4楽章からなり、第1楽章から第3楽章までは楽器だけで演奏されます。そして最後の第4楽章に独唱と合唱が加わり、オーケストラとともに壮大な音楽をつくり上げる点が、大きな特徴です。
この合唱部分は、詩人フリードリヒ・シラーの詩に基づく「歓喜の歌」として広く親しまれています。独唱者と混声合唱に、通常より大きなオーケストラが加わる大編成で、当時としても非常に大きな規模の交響曲でした。交響曲に独唱と合唱を大きく取り入れることは当時としては異例で、第九は交響曲のあり方そのものを広げた画期的な作品として知られています。
第九は、聴力を大きく失っていた晩年に、ベートーヴェンが完成させた最後の交響曲でもあります。喜びや人類の連帯をうたい上げるその内容とあわせて、長く多くの人の心をとらえてきました。
交響曲に声楽を取り入れた第九は、その後の音楽にも大きな影響を与えました。ブラームスやワーグナー、ブルックナー、マーラーといった作曲家たちが、規模の大きな交響曲へと歩みを進める道を開いたともいわれています。
「歓喜の歌」の旋律は、今日ではヨーロッパを象徴する「欧州の歌」としても用いられ、国や言葉を越えて親しまれています。日本では年末に各地で演奏されるのが恒例となり、プロの演奏家だけでなく、市民による合唱団やアマチュアのオーケストラが参加する演奏会も数多く開かれています。
また、ピアニストとして名高いリストは、ベートーヴェンの交響曲全9曲をピアノ独奏用に編曲しており、第九もその一つです。オーケストラと合唱による壮大な響きを1台のピアノで表現した編曲として知られ、ピアノを通して第九に親しむこともできます。
第九の魅力は、名曲を味わうことだけにとどまりません。多くの人が声や楽器の音を合わせ、一つの大きな音楽をつくり上げる経験そのものに、合唱やオーケストラならではの喜びがあります。
第九に参加する方法は、大きく分けて「歌で参加する」「楽器で参加する」の二つがあります。
合唱で参加する場合は、各地の市民合唱団や、演奏会ごとに公募される合唱メンバーに加わるのが一般的です。年末の第九に向けて、数か月前から練習を重ねる合唱団も多くあります。音楽経験を問わず参加できる団体もあり、大人になってから合唱を始める方にとって、第九は入りやすい目標といえます。
楽器で参加する場合は、アマチュアオーケストラの一員として演奏に加わります。ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器、フルートなどの管楽器で参加することになり、それぞれのパートを演奏する技術が必要です。子どもの頃に習っていた楽器を再開し、第九への参加を目標にする方もいます。
第九の合唱に参加するには、いくつかの準備があると安心です。まず、歌詞がドイツ語であるため、発音に慣れておく必要があります。合唱団では発音指導が行われることも多いですが、事前に基礎を学んでおくと、練習にスムーズに入れます。
第九の合唱では、自分のパートを覚えるだけでなく、周りの声を聴きながら、音程や響きを合わせる力も求められます。ドイツ語では、母音や子音の発音をそろえることが、合唱全体の明瞭さにつながります。また、長時間の練習や本番で無理なく歌うために、喉に負担をかけない発声を身につけておくことも大切です。
こうした力は、声楽やボイストレーニングのレッスンで基礎から養えます。楽譜が読めなくても参加できる合唱団はありますが、読譜の基礎があると、練習の負担を軽くできます。歌う準備を整えたい方は、声楽・ボイストレーニングクラスで基礎から学ぶこともできます。
楽器で第九に参加する場合は、担当するパートを演奏できる技術が求められます。しばらく演奏から離れていた方は、まず基礎を取り戻すところから始めるとよいでしょう。
オーケストラで演奏するときは、自分の音だけを聴くのではなく、パート内で音程やリズム、音量をそろえ、全体の響きのなかで役割を果たすことが大切です。長い休符を正確に数える力や、指揮者を見ながら入るタイミングを判断する力も求められます。本番に向けては、早めにパート譜に慣れておくと安心です。
こうした合奏の感覚は、レッスンや練習を重ねるなかで身についていきます。楽器の演奏を基礎から整えたい方は、弦楽器や管楽器など、それぞれのレッスンで基礎を築くことが大切です。たとえばヴァイオリンで参加を目指す場合は、ヴァイオリンクラスで専門的な指導を受けられます。
「第九を歌いたい」「第九を演奏したい」という明確な目標は、大人が音楽を始める・再開するうえで、大きな原動力になります。ゴールがはっきりしていると、日々の練習にも張り合いが生まれ、続けやすくなります。
大人になってからでも、第九を目標に合唱や楽器を始めることはできます。仕事や家庭と両立しながら、自分のペースで取り組む方も多くいます。ただし、演奏会ごとに求められる経験や練習量は異なるため、無理のない目標設定から始めることが大切です。独学で進めることもできますが、専門の講師によるレッスンを受けると、発音や音程、演奏技術の課題を的確に整えられ、目標への道筋が見えやすくなります。
また、日頃の成果を発表する舞台があると、練習の励みになります。小林音楽教室でも、定期演奏会をはじめ、学びの成果を披露する機会を用意しています。
合唱では、音楽経験を問わず参加できる団体もあります。まずは歌うことを楽しみながら、音程や発音を少しずつ整えていくとよいでしょう。ただし、演奏会や合唱団ごとに募集条件や練習回数は異なるため、事前に確認しておくと安心です。楽器での参加は一定の技術が必要になるため、基礎から準備を始めるとよいでしょう。
演奏会や合唱団によって異なりますが、数か月前から練習を始めるところも多くあります。ドイツ語の発音や音取りに不安がある場合は、早めに楽譜や音源に触れ、必要に応じて声楽やボイストレーニングで基礎を整えておくと安心です。
楽譜が読めなくても参加できる合唱団はあります。ただし、読譜の基礎があると、音を覚える負担が軽くなり、練習にも余裕が生まれます。少しずつ楽譜に親しんでおくと安心です。
多くの合唱団では、ドイツ語の発音を一から指導してくれます。意味を理解しながら歌うと、より表現が深まりますが、まずは発音に慣れることから始めるとよいでしょう。
年齢を問わず参加できる第九の演奏会は多くあります。大人になってから、あるいは定年後に第九を目標に音楽を始める方もいます。自分のペースで準備を進めることが大切です。
オーケストラで演奏される弦楽器や管楽器で参加できます。ヴァイオリンやチェロ、フルートなどが代表的です。かつて習っていた楽器を再開して、参加を目指す方もいます。
第九は、喜びと連帯をうたう壮大な作品であり、合唱でも楽器でも、多くの人が参加できる憧れの舞台です。歌で参加するなら発音や音程の基礎を、楽器で参加するならパートを演奏する技術を、それぞれ準備しておくと安心です。「第九に参加したい」という目標は、大人が音楽を始める大きなきっかけになります。
第九をはじめ、憧れの舞台を目標に音楽を始めてみたい方は、まずは体験レッスンで教室の雰囲気を確かめてみてはいかがでしょうか。小林音楽教室では、幼児から大人まで、一人ひとりの目標に合わせて、歌も楽器も基礎から丁寧にサポートいたします。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」