声楽のレッスンを受けてみたいけれど、当日は何をするのか、何を準備すればよいのか、わからず不安に感じる方は多いと思われます。
この記事では、初めて声楽レッスンを受ける方に向けて、レッスン当日の流れ、持ち物、レッスンで受け取る課題、そして自宅での取り組み方を、順を追って解説します。声楽とは何か、ボーカルとの違いについては声楽とは?で解説していますので、あわせてご覧ください。
初回のレッスンは、いきなり曲を歌い込むわけではありません。講師が受講する方の状態を知り、これからどう進めるかを一緒に確認する時間になることが多いものです。おおよそ次のような流れで進みます。
まず、どうして声楽を習いたいのか、これまでに歌や楽器の経験があるか、扱ってみたい曲があるかなどを伝えます。趣味として楽しみたいのか、発表の機会を目指すのか、目的によってレッスンの進め方は変わります。はっきり言葉にできなくても構いません。話すなかで、講師が方向性を整理してくれます。
次に、実際に少し声を出してみて、今の声の状態や、無理なく出せる音域を確認します。高い声・低い声のどのあたりが出しやすいか、どこから苦しくなるかは、一人ひとり違います。ここで現在地を知ることが、その後の練習の出発点になります。
声は、身体を使って生み出すものです。立ち方や姿勢、息の使い方、口や喉の開き方によって、出しやすさは大きく変わります。初回から完成を目指すのではなく、まずは無理のない発声の感覚にふれることから始めます。
レッスンの終わりには、次回までに何に取り組むかを整理します。多くの内容を一度に持ち帰るのではなく、今の段階で必要なことに絞るのが続けやすさにつながります。
2回目以降は、発声の基礎と曲の練習を、切り離さずに結びつけながら進めていきます。発声練習だけを延々と行うのではなく、扱う曲のなかで、その発声がどう生きるのかを確かめていく形です。
曲を歌うと、講師から音程・リズム・歌詞の発音・フレーズの区切り・表現について、その場でフィードバックを受けます。歌っている最中に自分が感じている声と、外へ届いている声には違いがあるため、客観的に聴いてくれる人からの言葉が、自分では気づけない点を教えてくれます。録音して振り返ることもあります。
レッスンの内容は毎回同じではありません。そのときの課題に応じて、呼吸に重点を置く日もあれば、曲の表現を深める日もあります。この「確認する→試す→聴いてもらう→修正する→持ち帰る」という循環を重ねるなかで、少しずつ変化が積み上がっていきます。当教室で実際に行っている指導の内容は声楽・ボイストレーニングの指導内容でご紹介しています。
初めてのレッスンに向けて、次のものを用意しておくと安心です。
録音してよいかどうかは、レッスンの初めに講師へ確認してください。また、体調や声の変化があるときは、無理をせずその旨を伝えましょう。喉に違和感があるときは、その日の内容を調整してもらえます。
上達には、レッスンとレッスンのあいだの取り組みが大きく関わります。ただし、やみくもに長時間歌えばよいわけではありません。
息が続かない、息継ぎが苦しいといった呼吸に関する具体的な練習方法は歌で息が続かない原因は?で解説しています。自宅練習の参考にしてください。
同じ声楽レッスンでも、目指すものによって進め方は変わります。
好きな曲を無理なく歌えるようになることを中心に、発声の基礎を少しずつ整えていきます。自分のペースで続けられることを大切にします。子どもの声楽やボイストレーニングについては子どものボイストレーニングで解説しています。
本番に向けて、一曲を仕上げていく過程が加わります。人前で歌う経験は、普段の練習とは違う緊張を伴いますが、その分、大きな手応えにつながります。
声楽専攻を目指す場合は、声楽の実技だけでなく、ソルフェージュや副科のピアノなどが課されることがあります。ただし、その内容や求められる水準は、学校・学科・専攻・入試方式・年度によって異なります。志望校の募集要項と課題一覧を確認したうえで、早めに準備の計画を立てることをおすすめします。
初めて教室を選ぶときは、次の点を確認しておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
体験レッスンがある場合は、実際に声を出してみて、講師との相性や、説明のわかりやすさを確かめる機会にするとよいでしょう。
始められます。楽譜の読み方も、レッスンのなかで少しずつ身につけていくことができます。最初から完璧に読めなくても心配はいりません。
受講できます。声楽レッスンは、今の状態から少しずつ声を育てていくものです。自信がないと感じる方こそ、客観的に聴いてくれる講師とともに進める意味があります。
指定された楽譜がある場合はその楽譜、筆記具、飲み物があると安心です。扱ってみたい曲や目的があれば、あわせて伝えられるようにしておくとスムーズです。
取り組めると上達につながりますが、レッスンで指定された内容を、短い時間でも確認する形で十分です。自己流で強く歌い込むより、課題を絞って取り組むことをおすすめします。
初めての声楽レッスンは、講師が今の状態を確認し、これからの進め方を一緒に組み立てるところから始まります。継続するなかでは、確認して、試して、聴いてもらい、修正し、次回まで持ち帰るという循環を重ねていきます。
準備するものは多くありません。扱いたい曲や目的、指定された楽譜、動きやすい服装があれば十分です。自宅では、レッスンで受け取った課題を無理のない範囲で確認していきましょう。声楽は、身体を使って自分を表現していく学びです。まずは一歩、声を出してみることから始めてみてください。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」