ビジネスにも発声練習が効果的

声の悩みと発声練習とは

上司から声が聞き取りにくいと言われた、お客さまとの電話対応中に何度も聞き返されてしまった、プレゼンテーションで声が通らず自分の企画をうまく伝えることができなかった、などの経験をしたことがある人もいるでしょう。

声に関して独自に研究をしているとあるサイトで、全国の20代から50代の働く男女へ声に対する意識調査を行ったところ、自分の声に自信がないと答えた人は全体の7割弱という結果が出たほど、声に自信がない人は多いものです。
しかし、声は発声練習次第でしっかりと通るようになります。

発声をするためには、空気が重要です。空気は肺にためられた後、気管支を通過して出ていきます。その際に空気が声帯を通り音、つまり声を出すことができます。人は話す時や歌う時に、無意識に声帯を動かすことで声に強弱や高さなどを作り出しています。声帯から出た声は、まだ音のままで言葉にはなっていません。その音を体で響かせて、口や舌や歯などを利用することで言葉になります。

発声練習では、ビジネスのさまざまなシーンに合わせた声の出し方や、通る声の出し方、しゃべり方などを中心に練習していきます。ビジネスでは電話など、時声のやりとりがメインになることもあります。発声練習を通じて、正しい発声の仕方や、好感が持たれる話し方、説得力を持たせた話し方などを習得すれば、いざというときに有利になります。また、声は体を通して出されるため、日ごろから体操やストレッチなど体をほぐしておくことも大切です。

なぜビジネスに発声練習が必要なのか

ビジネスにおいて、最も大切なことの一つにコミュニケーション能力を挙げる方は多くいます。自分の伝えたいことを正しく伝える力や、自分の話に興味を持ってもらえるようなコミュニケーション能力は、ビジネスパーソンにとって大きな力になります。

しかし、そのようなコミュニケーション能力は簡単には手に入らないと考える人も多いでしょう。

どこから手をつければいいかわからないと悩んでいる人にぜひおすすめをしたいのが、発声練習です。自分の声に自信がないと答えた方の中には、声がくぐもって聞こえることや、滑舌が悪いという悩みを抱えている人がいます。生まれつきだからとそれらの悩みを抱えたまま仕事をしていると、どうしても自分に自信が持てず会話がまごついたり、ここぞという重要な局面で思ったように発言できず、自分の力を十分に発揮できなかったりする事態が起きかねません。

例えば営業などで何かの商品を相手に購入してもらいたい場合は、まず相手に受け入れてもらう必要があります。そして、話を聞いて納得し、共感を得て購入をしてもらわなければなりません。このようなプロセスを踏むには、場面に合わせた適切な話し方や声のトーンなどを自然に使いこなすことが大切です。

第一印象を決めるのは見た目だと言われることもありますが、それ以上に大切だとされているのが、実は声です。
話している中で、この人は信用できる、この人と一緒に仕事をしてみたいと相手に思ってもらうためにも、自信を感じさせる声を出すことは重要です。

電話での対応がメインになっている仕事の場合は、ほとんどの印象が声や話し方で決まってしまいます。発声練習で舌の運動や使い方を学ぶことで、聞き取りやすい話し方や好感の持たれる話し方を目指すことができ、仕事をスムーズに運ぶ上でも役立つでしょう。

発声練習がビジネスで生かせる場面とは

発声練習をしっかりすることで、ビジネスの面で得られる効果は数多くあります。発声練習を重ねて自分の声に自信を持つと、仕事に対しても自信を持てるようになります。

また、声量をうまくコントロールすれば、話に説得性を持たせられます。会議や営業で先方に説明をする時など、大きな声を出して伝えても相手に威圧感を与えるだけで終わる場合もあります。少し低めの声でゆっくりと話すようにしましょう。

落ち着いた人物という印象を与えられるため、信頼度アップも期待できます。もしも店内外などで客を呼び込む場合は、逆に明るく大きな声で話すようにします。声が小さかったり通らなかったりすると相手は頼み事の内容をすべて聞き取れません。

相手が部下である時、毎回聞き返すわけにもいかず、仕事のミスにつながってしまうケースも考えられるので、発声練習は社内でも仕事を同僚や部下に頼む時にも役に立ちます。加えて、相手の気持ちに寄り添ったやわらかい声を出すことで、相手の気持ちを害することなく仕事の協力を得やすくなります。

これらのように、同じ内容を話していても声によって相手が受ける印象は大きく変わります。自分で出したいと思う声は、頭では理解していればすぐに出せるわけではありません。しっかりと発声練習をして、さまざまな声の出し方を習得する必要があります。

また、独自の方法で行えば、舌の動き方や息の仕方などで正しくない癖がついてしまう可能性があります。なるべく教室に通って、きちんとプロに基礎を教えてもらうようにしましょう。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」

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