「音楽療法士とはどんな仕事なのか」「どうすればなれるのか」と気になる方は少なくありません。音楽が好きで、その力を人の役に立てたいと考える方にとって、音楽療法士は関心の高い仕事です。
この記事では、音楽療法士の仕事内容や活躍の場、資格の取り方と国家資格化の動き、求められる音楽スキル、向いている人、そして働き方と求人の現状までを、わかりやすく解説します。
音楽療法士は、歌や楽器の演奏、音楽に合わせた運動などを計画的に用いて、高齢者や障害のある方、医療現場の方などの心身を支える専門職です。音楽を通じて、心身機能の維持や改善、精神の安定などをうながすことが期待されています。
音楽療法には、大きく二つの形があります。対象となる方が一緒に歌ったり演奏したりする「能動的音楽療法」と、音楽を聴くことでリラックスをうながす「受動的音楽療法」です。対象となる方の状態やニーズに合わせて、これらを使い分けていきます。
音楽療法は海外で早くから発展してきました。第二次世界大戦後のアメリカで、傷病兵のケアに音楽が用いられたことが、専門職として広がる一つの契機になったといわれています。
音楽療法士が関わる対象は、乳幼児から高齢者まで、また健康な方から重い障害のある方まで、さまざまです。活躍の場も幅広く、病院やリハビリテーションセンター、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、特別支援学校、精神科の医療機関などがあります。
たとえば、認知症のある方や脳卒中後のリハビリテーションに音楽を取り入れ、生活の質(QOL)を支える取り組みが広がっています。一緒に歌ったり演奏したりすることが、気持ちの表現やコミュニケーションのきっかけになると報告されています。ただし、効果の現れ方は一人ひとり異なり、医師や看護師、リハビリ職など他の専門職と連携しながら進めるのが一般的です。
こうした取り組みは少しずつ医療・福祉の現場に広がり、音楽療法を取り入れる施設も増えてきています。
音楽療法士として活動するために、法律上かならず必要な資格はありません。ただし、専門性の高い仕事のため、実際には民間の認定資格を取得して働くのが一般的です。代表的なものに、日本音楽療法学会の「学会認定音楽療法士」や、全国音楽療法士養成協議会の「音楽療法士」があります。
日本音楽療法学会の資格の場合、認定校(3年制の専門学校や4年制の大学など)で所定の教育を受けたうえで、筆記の資格試験、続いて面接試験を経て認定されます。認定校では、医療・福祉・心理の知識と、音楽の知識・技術の両方を学びます。合格率は回によって変わりますが、養成課程でしっかり学ぶことが前提となる資格です。
音楽療法士は、現時点(2026年)では国家資格ではなく、民間資格です。ただし、専門職としての位置づけを明確にするため、国家資格化を目指す動きが続いています。
2023年には、関係する議員連盟の総会で、国家資格として「音楽支援士(仮称)」を設ける方向性が示され、その後も学会の推進委員会や関係団体による議論が重ねられています。ただし、国家資格化が決まったわけではなく、時期や制度の内容は今後変わる可能性があります。最新の状況は、日本音楽療法学会などの公式情報で確認しておくと安心です。
音楽療法士は、医療・福祉・教育の専門職であると同時に「音楽の専門家」でもあります。そのため、ピアノや歌、その場に合わせた即興演奏など、高い音楽の知識と技術が求められます。楽譜どおりに弾くだけでなく、対象となる方の反応に合わせて音楽を自在に扱う力が必要になります。
とくにピアノは、伴奏や合奏の土台として使う場面が多く、基礎をしっかり固めておきたい楽器です。読譜や音楽理論の力もあわせて必要になるため、ピアノやソルフェージュ、歌う力を養う声楽・ボイストレーニングなどで、音楽の基礎を総合的に整えておくと役立ちます。
音楽療法士に向いているのは、まず音楽が好きで、その力を人のために生かしたいと考える方です。対象となる方の様子をよく観察し、気持ちに寄り添える人、そして他の専門職と協力しながら根気よく取り組める人が求められます。
また、対象となる方は状態も年齢もさまざまです。相手に合わせて関わり方を柔軟に変えられることや、すぐに結果が出なくても前向きに続けられることも、大切な資質といえます。
音楽療法士を目指すうえで、知っておきたいのが働き方の現状です。現時点では、音楽療法士だけの専任の求人はまだ多くありません。そのため、看護師や介護福祉士、作業療法士など、別の資格を持つ方が、その仕事のなかで音楽療法を取り入れて活動しているケースが多く見られます。
とくに、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリの専門職とは相性がよく、音楽療法の学びが仕事に生きる場面も多くあります。専任として安定して働ける環境はこれからの面もありますが、福祉や療育の分野を中心にニーズは高まりつつあり、国家資格化の動きとあわせて、今後の広がりが期待されています。
現時点(2026年)では国家資格ではなく、民間の認定資格です。ただし、「音楽支援士(仮称)」として国家資格化を目指す動きが続いています。最新の状況は公式情報で確認しましょう。
目指せます。認定校で学ぶことが基本となるため進学が前提になりますが、医療・介護の現場で働きながら学ぶ方もいます。音楽の基礎は、早めに整えておくと安心です。
入門的なレベルにとどまらず、ピアノや歌、即興などを状況に合わせて扱える、高い音楽の力が求められます。読譜や音楽理論の基礎もあわせて身につけておくとよいでしょう。
音楽療法士は、音楽の力で人の心身を支える専門職です。現時点では民間資格ですが、国家資格化の動きも進み、福祉や医療の現場でニーズが高まりつつあります。求められる音楽の力は高く、ピアノや読譜、歌などの基礎を、早くから着実に積み重ねておくことが大切です。
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