
クラシックギターは、やわらかなナイロン弦の音色と、指で弦を弾く繊細な表現が魅力の楽器です。これから始める方にとっては、サイズや種類が多く、どれを選べばよいか迷いやすいところでもあります。
この記事では、クラシックギターの選び方を、アコースティックギターとの違い、サイズ(弦長)、種類、初心者がそろえたいものといった観点から、はじめての一本選びに役立つように整理して解説します。
クラシックギターは、ナイロン弦を張り、指で弾くことを基本とするギターです。あたたかくまろやかな音色が特徴で、クラシック音楽をはじめ、ボサノヴァやフラメンコ(フラメンコギター)などでも用いられます。ガットギターと呼ばれることもありますが、これは、かつて羊などの腸を用いたガット弦が使われていた名残による別称です。
一般に「アコースティックギター(フォークギター)」と呼ばれるギターとは、いくつかの点で異なります。混同しやすいため、主な違いを整理します。
| 項目 | クラシックギター | アコースティックギター |
|---|---|---|
| 弦 | ナイロン弦(やわらかい) | スチール弦(張りが強い) |
| 音色 | あたたかくまろやか | 明るくきらびやか |
| ネック(ナット幅) | 広め(52mm前後が目安) | 細め(42〜45mm前後が目安) |
| 弾き方 | 指で弾くのが基本 | ピック・指のどちらも |
| 主なジャンル | クラシック・フラメンコ・ボサノヴァ | 弾き語り・ポップスなど |
どちらもアンプを使わずに音を出せるアコースティックな楽器ですが、世間では「ナイロン弦=クラシックギター」「スチール弦=アコースティックギター」と呼び分けるのが一般的です。ナイロン弦はやわらかく、指先が痛くなりにくいため、はじめて弦楽器に触れる方にも親しみやすいといわれます。なお、エレキギターはアンプで音を増幅して鳴らす楽器で、これらとは構造も奏法も異なります。
クラシックギターを選ぶときは、次のような観点から、自分に合った一本を探していくとよいでしょう。
| 観点 | 見るべき内容 |
|---|---|
| サイズ(弦長) | 体格や手の大きさに合うか。抱えやすく、無理なく押さえられるか |
| 弾きやすさ | 弦高(弦と指板の距離)が高すぎないか。ネックの幅は手に合うか |
| 表板の材・作り | 単板か合板か。松(スプルース)系か杉(シダー)系か、といった音色の傾向 |
| 新品・中古 | 予算や状態に応じて。中古は調整・保証の有無を確認 |
| 予算 | 入門・中級・上級で価格帯が変わる。長く使えるかを見据えて |
最初の一本は、「抱えやすく、弾きやすい」と感じられるかどうかが、続けやすさにつながります。可能であれば実際に手に取り、専門店の担当者や講師に相談しながら選ぶと安心です。
クラシックギター選びで特に迷いやすいのが、サイズです。ここでいうサイズの中心は「弦長(スケール)」で、ナット(ヘッド側の弦の起点)からサドル(ボディ側の起点)までの、弦が振動する長さを指します。ギター本体の全長とは別のものです。
弦長は650mm前後が標準とされ、これより短いものはショートスケールと呼ばれます。目安は次のとおりですが、手の大きさや好みには個人差があるため、実際に試すのがおすすめです。
| 弦長の目安 | 向いている方 |
|---|---|
| 650mm前後(標準) | 一般的な大人。手の大きい方は655mm以上が合うことも |
| 640mm・630mm(ショートスケール) | 手が小さめの方・小柄な方。フレット間隔が狭く、弦の張りもやや弱め |
| ミニサイズ(580mm前後) | 気軽に始めたい方・持ち運びや置き場所を重視する方 |
| 子ども向け(480mm前後〜) | 身長100cm前後の小さなお子さま。成長に合わせて分数サイズを選ぶ |
弦長が短くなるほどフレットの間隔が狭くなり、弦の張力もやわらぐため、押さえる力が少なくてすみます。ただし、弦長が2cm短くなっても、押さえる位置の差はわずか数mm程度ともいわれ、極端に弾きやすさが変わるわけではありません。また標準サイズのほうが楽器の選択肢が多い、という面もあります。ネックの太さ(ナット幅)も弾きやすさに関わり、クラシックギターは52mm前後が標準です。
ひとくちにクラシックギターといっても、いくつかの軸で種類が分かれます。選ぶときの見取り図として整理しておくと、比較がしやすくなります。
| 分類の軸 | 主な種類 |
|---|---|
| 弦長(スケール) | 標準(650mm前後)/ショートスケール(640・630mm)/ミニ・子ども用 |
| 表板の材 | 松(スプルース)系=華やかで輪郭のある音/杉(シダー)系=やわらかく甘い音、といった傾向 |
| 作り | 単板(響きが豊か)/合板(扱いやすく手ごろ) |
| グレード・産地 | 入門・中級・上級。国産や、スペインなどの工房製まで幅広い |
| 新品・中古 | 予算・状態に応じて選ぶ |
入門の段階では、まず弦長と弾きやすさを軸に選び、音色の好み(松系か杉系か)を試していくとよいでしょう。フラメンコに使うフラメンコギターは、同じナイロン弦でも構造や音の傾向が異なる別ジャンルの楽器です。
はじめてクラシックギターを選ぶときは、高価なものより、まず「抱えやすく、無理なく押さえられる一本」を基準にするとよいでしょう。おすすめのモデルを探す前に、自分の体格に合うサイズと、予算の範囲を決めておくと選びやすくなります。中古を検討する場合は、調整済みか、保証や修理対応があるかを確認しておくと安心です。
ギター本体のほかに、練習を始めるうえでそろえておきたいものもあります。
| アイテム | 役割 |
|---|---|
| ケース | 持ち運び・保管時の保護 |
| チューナー | 正しい音程に調弦するための必需品 |
| 足台または支持具 | 正しい姿勢で構えるための補助 |
| 譜面台 | 楽譜を見やすい位置に置く |
| 替え弦 | 弦が切れたときや張り替え用に |
これらをそろえておくと、購入後すぐに落ち着いて練習を始められます。
クラシックギターの大きな魅力は、ナイロン弦ならではのやわらかく深みのある音色と、指先で一音一音を紡いでいく繊細な表現にあります。一本の楽器で旋律と伴奏を同時に奏でられるため、独奏でも豊かな音楽を表現できます。
その一方で、正しい姿勢や右手のタッチ、左手の運指などには基礎があり、独学では気づきにくい癖がつくこともあります。小林洋子ほか『音楽教育のススメ 改訂版』(幻冬舎、2025年)でも、音を聴き取り、自ら感じて表現しようとする感性を育てることの大切さが語られています。楽器選びから奏法まで、専門の講師に相談しながら学ぶことで、自分に合った一本と出会い、音楽の楽しさをより深く味わえるようになります。
楽器全体の始め方に迷う方は趣味で楽器を始めるなら、習うことで得られるものについては楽器を習うメリットもあわせてご覧ください。自宅での練習環境が気になる方は楽器の練習場所も参考になります。クラシックギターを本格的に学びたい方は、クラシックギターのレッスンで、選び方から丁寧にご相談いただけます。
ネックが広く独特の構えではありますが、ナイロン弦はやわらかく指が痛くなりにくいため、はじめての弦楽器としても親しみやすい楽器です。自分の体格に合ったサイズを選ぶことが、無理なく続けるコツです。
クラシック音楽やボサノヴァ、指で弾く繊細な演奏を楽しみたい方はクラシックギター、弾き語りやポップスを楽しみたい方はアコースティックギターが向いています。好きな音色や弾きたい曲で選ぶとよいでしょう。
お子さまの身長や手の大きさに合わせて、ミニサイズや分数サイズを選びます。身長100cm前後なら480mm前後が目安です。成長に合わせて買い替えを検討するとよいでしょう。
予算を抑えたい場合、中古も選択肢になります。ネックの反りや弦高、傷の状態を確認し、調整済みか、保証や修理対応があるかをチェックすると安心です。
独学で楽しむこともできますが、姿勢や指の使い方には基礎があり、自己流の癖がつくと後から直しにくいことがあります。専門の講師に基礎を見てもらうと、上達もスムーズになりやすいでしょう。
クラシックギターを選ぶときは、まず体格や手の大きさに合ったサイズ(弦長)を基準に、弾きやすさ・音色・予算・新品か中古かといった観点から比べていくとよいでしょう。ナイロン弦のやわらかな音色は、はじめての弦楽器としても親しみやすいものです。
迷ったときは、実際に手に取り、専門の講師や専門店に相談しながら選ぶのが、自分に合う一本と出会う近道です。選び方から奏法まで、まずは体験レッスンで気軽に相談してみてください。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」