
「音楽で英才教育を」と考えて、教室を探す保護者の方もいらっしゃるでしょう。この言葉には、早くから特別な訓練を受けさせる、という印象があるかもしれません。しかし、音楽の早期教育で本当に大切なのは、成績や才能の優劣ではなく、子どもが音を楽しみながら、感性や表現する力を育てていくことです。ここでは、音楽による早期教育の考え方や、何歳から始めるとよいか、教室選びのポイントまでを、音楽教育の視点から解説します。
音楽の早期教育と聞くと、才能のある子どもを見つけて特別に育てるものだと考える方もいるかもしれません。しかし、音楽を学ぶことは、限られた子どものためのものではありません。
音楽の早期教育の目的は、才能を選別することではなく、子どもが音や音楽に親しみ、楽しみながら少しずつ力を育てていくことにあります。上手にできるかどうかよりも、音を楽しいと感じる経験そのものが、その後の成長の土台になります。
音楽教育は、ときに成績や知能の向上と結びつけて語られることがあります。しかし、音楽を学ぶ価値は、数値で測れる成果だけにあるわけではありません。音を聴き、感じ、表現しようとする経験そのものが、子どもの心を豊かに育てていきます。
音楽に早くから親しむことで育つのは、順位や成績で測れる能力ではありません。音や響きを感じ取る感性、楽譜や音楽の流れを理解しようとする思考、そして自分の気持ちを音で表す力です。
小林洋子ほか『音楽教育のススメ 改訂版』でも、音楽教育は、感性・論理的思考力・自己表現力という三つの力を育てる営みとして語られています。音楽は、子どもが自分らしく生きていくための土台を、無理なく育んでいきます。
音楽を始める時期に、唯一の正解はありません。年齢ごとの目安を知っておくと、無理のない始め方を考えやすくなります。
早く始めることには良さもありますが、始める時期そのものより、子どもが音楽を楽しめているかを大切にしましょう。
音楽の基礎は、さまざまな学び方で育てられます。子どもの年齢や興味に合わせて選ぶとよいでしょう。
ピアノは、鍵盤で音の高さを目で確かめやすく、早い時期から始めやすい楽器です。ピアノのレッスンでは、楽しみながら基礎を身につけられます。リトミックは、音楽に合わせて身体を動かし、リズムや音を感じ取る学び方で、リトミックは幼児期から音楽に親しむ入り口になります。
ソルフェージュは、音を聴き取り、歌い、リズムや楽譜を読む力を育て、音楽を理解する土台をつくります。ソルフェージュは、音楽を長く学ぶうえで役立ちます。
なお、幼児期は音を聴き分ける力が育ちやすい時期ともいわれ、絶対音感を育てる取り組みもあります。ただし個人差があり、必ず身につくものではないため、まずは音を楽しむことを大切にしましょう。
教室を選ぶときは、指導方針や講師との相性、通いやすさなどを確認し、体験レッスンで実際の雰囲気を確かめるとよいでしょう。子どもが「楽しい」と感じられるか、無理なく続けられそうかを大切にします。
家庭では、練習を結果だけで評価するよりも、「今日はどんな音が楽しかった?」と声をかけるなど、音楽への興味を見守る姿勢が大切です。子どもが音楽を好きになる気持ちを、そっと支えていきましょう。
一般的には、早くから専門的に音楽を学ばせることを指して使われることがあります。ただし音楽教育で大切なのは、才能の優劣ではなく、子どもが音を楽しみ、感性や表現する力を育てていくことです。特別な才能がなくても、音楽は誰にとっても豊かな学びになります。
いいえ。幼児期から音に親しむ良さはありますが、音楽を始める時期に唯一の正解はありません。大切なのは、子どもが音楽を楽しいと感じ、無理なく続けられることです。
幼児期は音感を育てやすい時期とされますが、個人差があり、必ず習得できるものではありません。絶対音感の有無にかかわらず、音楽は十分に楽しめます。
音を楽しむ気持ちがあれば、年齢や経験にかかわらず始めやすい学びです。大人になってから音楽を始め、楽しむ方も多くいます。
音楽による早期教育で大切なのは、才能の選別や成績の向上ではなく、子どもが音を楽しみながら、感性や表現する力を育てていくことです。始める年齢や教室選びに悩んだときは、子どもが「楽しい」と感じられるかを第一に考えるとよいでしょう。
幼いころに音楽に親しんだ経験は、演奏技術だけでなく、音を聴く喜びや表現する楽しさとして、その後の人生にも残っていきます。音楽は、大人になってからも心を豊かにする、一生の宝物になります。
まずは体験レッスンで、お子さまが音を楽しむ姿を見てみてはいかがでしょうか。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」