チェロを教える仕事に関心があり、求人を探そうと考えたとき、募集要項のどこを見ればよいか迷うことがあります。担当する生徒も、契約の形も、レッスンの環境も、教室によって異なるためです。
この記事では、求人を探す段階から選考までを通して、応募を検討する人が確認しておきたい点を整理します。チェロという楽器の特性から、他の楽器では生じない確認事項もあります。
なお、募集状況や条件は変更されます。現在の募集内容については、各教室が公表している採用ページと最新の募集要項をご確認ください。
求人を探す方法は大きく二つあります。ひとつは、通勤できる範囲にある音楽教室の採用ページを直接見ること。もうひとつは、求人媒体で音楽講師の募集を探すことです。
音楽教室の採用ページには、その教室が何を重視しているか、どのようなクラスを開講しているかも掲載されています。募集の有無だけでなく、そうした情報も併せて読むと、応募先を選ぶ判断がしやすくなります。募集状況は時期によって変わるため、最新情報は採用ページでご確認ください。
求人情報では「非常勤講師」「業務委託講師」といった表現が使われることがあります。ただし、この二つは同じ分類の言葉ではありません。
つまり「非常勤講師募集」と書かれていても、それが雇用契約なのか業務委託契約なのかは、その表示だけでは判断できません。
契約の名称や形式だけで実際の労働者性が決まるわけではなく、契約内容や実際の働き方などから個別に判断されるとされています。求人上の呼び方で判断せず、契約形態そのものを別に確認することが必要です。
「チェロ講師」という同じ職名でも、担当する範囲は教室によって異なります。募集要項の仕事内容欄からは、次のような点を読み取れます。
| 確認点 | 見る内容 |
|---|---|
| 指導対象 | 幼児・小学生・中高生・大人など、どの層を担当するか |
| 指導レベル | 導入・初心者が中心か、専門的に学ぶ生徒まで担当するか |
| レッスン形式 | 個人レッスンのみか、合奏やアンサンブルの指導を含むか |
| 分数チェロ | 子どもを担当する場合、分数サイズの楽器を扱う指導が含まれるか |
| 指導以外の担当 | 体験レッスン、発表会、レッスン記録、保護者への連絡などを含むか |
いずれも「担当するかどうか」を募集要項で確認しておきたい点です。チェロ講師なら必ず行う業務が決まっているわけではありません。
チェロは、他の楽器では生じない確認事項があります。応募先の環境によって、レッスンの進め方も変わります。
レッスンで使うチェロを、生徒自身が持参するのか、教室の備品や貸出楽器を利用できるのかは、教室によって異なります。
チェロは持ち運びに一定の負担がある楽器です。生徒が毎回持参する前提なのか、教室に楽器がある前提なのかによって、通える生徒の層も変わります。
子どもを担当する場合は、分数サイズの楽器を扱うかどうかも確認事項です。成長に応じてサイズを替えていくため、サイズ変更や楽器選びの相談を誰が支援するのか——講師が助言するのか、教室や楽器店が対応するのか——も把握しておくと、指導の範囲がはっきりします。
チェロは椅子に座って演奏する楽器です。そのため、生徒の体格・楽器のサイズ・椅子の高さという三つが同時に関わります。
楽器が体格に合っていても椅子の高さが合わなければ構えは安定せず、椅子を調整しても楽器のサイズが合っていなければ無理な姿勢になります。指導では、この組み合わせを見ながら構えを整えていきます。
子どもの生徒を担当する場合は、成長に応じてこの三つを都度見直すことになります。応募先が幼児や小学生を対象としているかは、担当する業務の内容に直接関わる確認点です。
チェロは楽器そのものが大きく、弓を動かす範囲も広くなります。レッスン室に十分なスペースがあるかは、指導のしやすさに関わります。
また、チェロは床にエンドピンを立てて支える楽器です。床を傷つけたり滑ったりしないよう、会場の床材や規則に応じてエンドピンストッパー等を使用する場合があります。
これらは募集要項に記載されないこともあります。選考の場や見学の機会があれば、確認しておくとよいでしょう。
雇用契約か業務委託契約かによって、働き方の前提が変わります。求人上の呼称ではなく、契約書面で確認します。
あわせて、次の点も事前に把握しておくと、開始後の行き違いを防げます。
雇用契約の場合は、勤務時間などに応じて社会保険等の適用条件も併せて確認します。
報酬の決まり方は教室によって異なります。月額で定める場合、時間単位の場合、担当したレッスン数に応じる場合などがあります。
金額だけでなく、何を基準に計算されるのかを確認します。担当する生徒数によって変動する仕組みであれば、その点も把握しておく必要があります。
担当できる曜日と時間帯は、生徒の層によって変わります。学校に通う生徒を担当する場合は平日の夕方や土日が中心になります。1レッスンの時間、担当枠の単位、曜日や時間帯が固定されるかは募集先によって異なるため、応募前に確認してください。
使用する教材や進め方が教室で定められている場合と、講師の判断に任される場合があります。自分で選曲や進度を組み立てたい場合は、どこまで裁量があるかを確認しておくとよいでしょう。
音楽教室にはそれぞれ指導の方針があります。採用ページや教室の紹介から、その教室が大切にしていることを読み取り、自分が行いたい指導と重なるかを考えておくと、応募先を選びやすくなります。
選考の方法や手順は、募集先によって異なります。ここでは、それぞれの段階で何が問われ、応募する側は何を確認しておくとよいかを整理します。
提出書類では、これまでの学習歴や演奏歴に加えて、指導の経験や、指導について考えていることが見られます。数ある音楽教室のなかで、なぜその教室に応募するのかも問われるため、教室の方針を読み込んだうえで整理しておきます。
実技試験がある場合には、課題曲・自由曲・初見演奏など、何を準備する必要があるかを事前に確認します。演奏だけでなく、楽典やソルフェージュに関する試験が含まれることもあります。内容は募集先によって異なるため、募集要項の記載や応募後の案内を確認したうえで準備します。
面接では、指導についての考え方や、これまでのレッスン経験が問われます。あわせて、面接は応募する側が教室を知る機会でもあります。担当する生徒の層、レッスン室の環境、レッスン以外の担当範囲、契約の条件など、募集要項で分からなかった点を確認します。
採用後にどのように始まるかも、教室によって異なります。
応募の段階で決まっていないこともあるため、どのような形で始まる可能性があるかを聞いておくと、見通しが立てやすくなります。
音楽大学の卒業が、国の制度上の必須条件というわけではありません。ただし、募集先が独自の応募条件を設けていることはあります。希望する教室の最新の募集要項を確認してください。
同じ分類の言葉ではありません。「非常勤」は勤務日数や勤務時間が限定された講師を指す求人上の呼称として使われることがあり、「業務委託」は契約関係を表す言葉です。求人の呼称だけで判断せず、雇用契約なのか業務委託契約なのかを契約条件で確認してください。
募集先によって異なります。指導経験を条件とする教室もあれば、これから指導を始める人を受け入れる教室もあります。募集要項の応募条件を確認してください。
教室によって異なります。生徒自身が持参する場合もあれば、教室備品や貸出楽器を利用できる場合もあります。特に子どものレッスンでは分数サイズの扱いも含めて、募集要項や選考時に確認するとよいでしょう。
椅子、演奏に必要なスペース、譜面台、床とエンドピンへの対応などが確認できます。チェロは楽器が大きく弓を動かす範囲も広いため、レッスン室の広さは指導のしやすさに関わります。
契約に関する項目です。契約期間、更新や終了の流れ、中途解約の方法とその制限、稼働スケジュールの決め方は、開始前に確認しておきたい点です。契約書面の内容を十分に確認したうえで、責任を持って進められるかを判断してください。
チェロ講師の求人は、担当する生徒も契約の形も教室によって異なります。「非常勤講師募集」という表示だけでは契約形態は分からないため、募集要項と契約書面で確認することが必要です。
あわせて、チェロだからこそ確認しておきたい点があります。楽器を生徒が持参するのか教室で用意されるのか、分数サイズを扱うか、椅子と体格と楽器サイズをどう見るか、レッスン室の広さと床への対応はどうなっているか。いずれも担当する業務の内容に直接関わります。
現在の募集状況と応募条件は、各教室の採用ページでご確認ください。
音楽講師という仕事全体の範囲や、分野ごとの違いについては音楽講師という仕事についてで解説しています。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」