大人になってからヴァイオリンを始めることはできます。ただ、最初から思い通りの音が出る楽器ではありません。フレットがないため音程を自分で整えること、日常とは異なる姿勢で楽器と弓を扱うことなど、最初に覚えることがあります。
だからこそ、始める前に「何が難しいのか」「レッスンでは何から取り組むのか」を知っておくと、必要以上に構えずに済みます。この記事では、大人の初心者に向けて、最初のレッスンの流れと、その先にどのような学びがあるのかを整理します。
小林音楽教室では、大人の方のヴァイオリンレッスンにも対応しています。ヴァイオリンクラスは初級者から上級者、音楽学校の受験生までを対象とし、レッスンはすべて個人レッスンで、現在の経験や学習の進度に合わせて内容を組み立てます。
楽器については、通常の大きさである4/4(フルサイズ)の目安は身長144cm以上です。大人の場合は4/4を使うことが多いものの、実際の楽器は身長や腕の長さなど体格を見ながら選びます。購入するか、レンタルにするか、維持にどのような費用がかかるかについては、楽器購入・レンタル・維持費の考え方に分けてまとめています。
ヴァイオリンで最初に向き合うことになるのは、音程と姿勢の二つです。
音程について。ピアノでは鍵盤によって弾く位置が明確ですが、ヴァイオリンにはフレットがありません。そのため、指を置く位置を少しずつ覚えながら、自分の耳でも音程を確かめて整えていきます。これは始める前に持っていなければならない資質ではなく、レッスンの中で身につけていく技能です。楽器の性質に由来することであって、大人だから特有に難しいというわけでもありません。
姿勢について。楽器を肩と顎で支え、左手で弦を押さえ、右手で弓を動かします。日常生活にはない姿勢のため、楽器を安定させるには時間がかかります。当教室では、それぞれの方の骨格に合った持ち方ができるよう、補助的な道具を使いながら少しずつ形を作っていきます。
どちらも、最初のレッスンで扱う内容です。次の節で、その順序を見ていきます。
最初の段階では、正しい持ち方・姿勢・腕や手指の形を身につけることに時間を使います。そのあと、弦を指で押さえずに弾く「開放弦」や、二つ三つの音でできた短い曲を使って、楽器と弓の扱いに慣れていきます。曲らしい曲に進むのは、その先です。
大人の初心者にとって、この順序を知っておくことには意味があります。最初に姿勢や開放弦へ時間を使う理由が分かるからです。まだ曲に入らないのは進みが遅いからではなく、そう組み立てられているからだと分かっていれば、練習の一つ一つの意味も見えやすくなります。
基礎的な持ち方や音の出し方を学んだ先では、アンサンブルや、さまざまな時代・ジャンルの作品にも取り組みます。
ヴァイオリンは旋律を担うことの多い楽器です。アンサンブルでは、ほかの声部や和声を聴きながら、自分の音を全体の中に位置づける経験ができます。当教室では、ヴァイオリン同士やピアノとのアンサンブルを早い段階から取り入れています。ヴァイオリンの主要なレパートリーには、協奏曲やピアノとのソナタ、室内楽など、他の演奏者と合わせて演奏する作品が多く含まれるためです。
選曲は、バロック・古典派・ロマン派・近現代という四つの時代区分から、伝統的に使われてきた曲をバランスよく選びます。それに加えて、「この曲を弾きたい」という目標がある場合は、ジャンルを問わず、学習の段階に応じて組み込むことができます。
発表の場としては、年に二回の定期演奏会があります。参加は任意です。
始める前に体験レッスンを受ける場合、大人の初心者として見ておきたい点は四つあります。
第一に、初心者への進め方です。持ち方や姿勢の指導を、体験の場で実際に受けられるか。最初の段階で時間をかける部分なので、そこをどう教わるかを見ておくと、その後の見通しが立ちます。
第二に、レッスンの形式です。個人レッスンか、グループレッスンか。どちらが自分の生活や目的に合うかを確かめます。
第三に、楽器の相談ができるかです。購入・レンタル・メンテナンスについて相談できる窓口があるかどうかで、始めるまでの手間が変わります。当教室のヴァイオリンクラスの体制はヴァイオリンのクラス、レッスンの進め方はヴァイオリンレッスンの内容でご確認いただけます。
第四に、発表機会への参加のしかたです。参加が必須か任意かを確認しておくと、自分の希望に合う学び方かどうか判断しやすくなります。
このほか、教室の雰囲気、講師との相性、通いやすさも、体験の場で確かめられます。
大人からヴァイオリンを始めることはできます。フレットのない楽器で音程を自分で整えること、日常にない姿勢で楽器を支えることは、始める前に知っておきたい特徴ですが、いずれもレッスンの中で順序立てて学ぶ内容です。
最初のレッスンは持ち方と姿勢から始まり、開放弦や短い曲を経て、曲へ進みます。その先には、アンサンブルや時代・ジャンルの広がりがあります。体験レッスンでは、初心者への進め方・形式・楽器の相談・発表への参加のしかたの四点を確かめてみてください。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」