チェロによるアンサンブルの魅力

チェロは単体で演奏することよりもアンサンブルをすることのほうが多いです。アンサンブルをする魅力はなんといってもチェロの深い音を存分に味わえることです。この楽器のアンサンブルは一般的には2台から10台ほどで演奏をすることが多いです。

モダン、バロック、ピッコロなどいくつか種類はありますが、アンサンブルで使われるのはほとんどの場合モダンチェロが使われます。稀にピアノによる演奏が入ることがありますが、ほとんどの場合はチェロのみで構成されます。固定した編成であれば四重奏や八重奏が有名です。メリットとしては難易度が低めのパートを設けることで、初心者などでも一緒に演奏を楽しむことができるという点です。低音とロングトーンによって他の楽器では表現できない独特の世界を表現できるのも良い点です。

現在のようにこの楽器のアンサンブルがよく行われるようになったきっかけは1966年のベルリンに拠点を置くオーケストラが日本公演においてチェロのみでアンコールを行ったことだといわれています。この時には会場から非常に高評価を得ました。国内のプロの団体では常設しているものは存在していませんが、周期的に同じメンバーで演奏会を開いている団体は存在しています。また高校や芸大の学生達が1年に1度演奏会を開いたりもしていますので、実際の音を聞きたい時には探してみるのがオススメです。

実際に演奏するとなると楽譜はそれほど多くありません。しかし何台使うかによって、それぞれ良さそうな曲はあります。例えば二重奏であれば初級レベルでもできるものがリーやオッフェンバックの曲です。リーは6つの二重奏曲・作品60、オッフェンバックは二重奏曲・作品49が始めやすい曲です。

特にこのオッフェンバックの曲は難易度が低めで初心者でも楽しめるわりに、とても完成度が高いです。優雅な旋律を楽しみたいという方は弾いてみるのも良いでしょう。また海外のサイトなどを参考にすることもできます。アメリカにはチェロのアンサンブルの編曲と出版を多く手がけている協会がありますのでチェックしてみるのも良いです。

しかしまずは自己流ではなく、プロの手でしっかりと基本を学び、手の動きなどをマスターしてから挑戦してみるようにしましょう。演奏は基本の持ち方や動かし方によって上手にも下手にもなります。自己流でやっていますとクセがついてしまい、腱鞘炎になってしまうことがあります。それを避けるためにも正しい動作を学ぶ必要があるのです。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」

音楽教育のススメ(幻冬舎)