フルート講師の求人では、まず「どの年代の、どの段階の生徒を、どこまでの範囲で担当するのか」を確認することが出発点になります。子どもを担当するのか、初めて楽器に触れる方に発音から教えるのか、楽器の扱い方まで伝える場面があるのか。担当する内容は募集先によって異なります。本記事では、応募を検討する段階で確認しておきたい点を整理します。現在の募集条件については、各教室の募集要項をご確認ください。音楽講師という仕事の全体像は音楽講師になるにはで扱っています。
同じ「フルート講師」という職種名でも、実際に担当する内容は募集先によって異なります。
対象となる生徒には幅があります。幼児や小学生を担当する求人もあれば、成人の初心者を中心とする求人もあります。吹奏楽部で演奏している生徒や、進学を目標とする生徒を担当する場合もあります。扱うジャンルも、クラシック、吹奏楽、ポピュラー音楽など、募集先が想定するものによって、レパートリーや指導の進め方が変わります。
また、ピッコロなど関連する楽器の指導を担当範囲に含む求人もあります。これは募集先による差が大きい項目です。
これらはあくまで例であり、どこまでを担当するかは募集要項から読み取ることになります。
仕事内容の欄に書かれている情報は、求人によって粒度が異なります。次のような点は、実際の担当内容を判断する手がかりになります。
| 確認する項目 | 読み取れること |
|---|---|
| 対象となる生徒 | 年代と段階。子どもを担当するかどうか |
| 使用する楽器と貸出の有無 | 子どもを担当する場合、U字頭部管の楽器や貸出用の楽器を教室が持っているか |
| レッスンの形式 | 個人か、複数人か。1回あたりの時間 |
| 伴奏の手段 | 講師がピアノを弾くのか、音源を使うのか |
| 発表の機会 | 発表会やアンサンブルの準備を担当するかどうか |
| レッスン室の環境 | 管楽器の音量に対応した防音か。複数人で合わせる場合の広さがあるか |
| レッスン以外の内容 | 記録、教室との連絡、教材の選定など |
記載がない項目は、面談の場で確認できます。書かれていないことが、そのまま「発生しない」を意味するとは限りません。
息を使うこと、演奏後に管内へ水分が生じること、精密な機構を扱うことは、管楽器に広く共通します。一方、横向きに構えることや唄口の扱いは、フルートに固有です。ここでは、応募先を選ぶ段階で知っておくと判断しやすい実務を挙げます。
フルートは横向きに構える楽器です。弦楽器のように楽器全体を分数サイズにするのではなく、頭部管の形を変えることで、身体の小さい奏者への対応が行われます。その代表がU字頭部管(カーヴド頭部管)です。管を曲げることで構えたときの長さが短くなり、腕の短い奏者でもキイに指が届きやすくなります。成長に合わせてストレート頭部管へ切り替えられる構成のモデルもあります。
どちらを使うかは、年齢で決まるものではありません。同じ年齢でも体格や腕の長さは異なります。講師は、構えた姿勢と指の届き方を実際に見ながら考えることになります。
募集先で子どものレッスンを担当する場合には、こうした楽器を扱う可能性があるか、教室に備品や貸出用の楽器があるかも、確認しておきたい点です。楽器そのものの種類についてはフルートの種類と特徴で扱っています。
フルートは木管楽器に分類されますが、リードを使いません。唇から出た息を唄口のエッジに当てることで音が生まれます。頭部管をどの角度で構えるかも、発音に関わります。
このため、安定して発音するために息の方向と唄口の位置関係をつかむことが、初期の課題になる場合があります。どのくらいの期間を要するかは個人差が大きく、一律ではありません。
講師は、唇の形だけを見ているわけではありません。息の方向、唄口との位置関係、姿勢、実際に出ている音、そして本人が感じている感覚。これらを組み合わせながら、実演と言葉の両方で伝えることになります。
フルートは細いキイと連結する機構を持つ楽器です。組み立てるときにキイやリッププレートへ力をかけると、機構に負担がかかります。演奏後には管内やタンポに水分が残るため、これを取り除いてからケースに収めます。
子どもを担当する場合、こうした扱い方を本人や保護者へ伝える場面があります。演奏の指導だけでなく、楽器を良い状態に保つための説明も、レッスンの一部になります。
特定の音だけが鳴りにくい、息がもれるような感触がある。こうした状態は、吹き方だけが原因とは限りません。キイやタンポの調整が必要になっている場合もあります。
講師が修理や調整を行うわけではありません。楽器の状態も確かめたうえで、専門的な調整が必要と思われる場合には、楽器店や修理を担当する技術者への相談を案内する。この線引きも実務のひとつです。募集先が楽器の相談先を持っているかどうかも、確認しておくと判断しやすくなります。
指導内容とは別に、働き方に関わる条件があります。これらも教室によって異なり、一律ではありません。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約の形 | 雇用か業務委託か。それぞれで扱いが異なる |
| 報酬の算定 | 何を基準に算定されるか。試用期間中の扱い |
| 担当する曜日と時間帯 | 固定か変動か。担当できる枠の数 |
| カリキュラムの裁量 | 教材や進め方を講師が決められる範囲 |
応募資格についても、学歴・資格・指導経験などの条件は募集先によって異なります。その時点の募集要項でご確認ください。
なお、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(job tag)では、音楽教室講師について、入職にあたって一律の学歴や資格が求められるとはされていません。ただしこれは音楽教室講師という職業全体の情報であり、フルート講師に限定した応募条件を示すものではありません。
選考の内容も、募集先によって異なります。実技審査が行われる場合には、課題の有無や当日の進め方が募集要項に記載されていることがあります。面談では、担当したい生徒の層や指導の考え方について話す機会があります。模擬レッスンを行う教室もあります。
これらがすべての求人で行われるわけではありません。どのような選考が行われるかは、応募先ごとに確認することになります。
音楽教室で指導するために、国が一律に定めた資格や免許はありません。ただし、応募条件は募集先によって異なり、実技審査が設けられることもあります。
応募条件は募集先によって異なります。学歴・資格・指導経験などの条件については、その時点の募集要項をご確認ください。
あります。身体の小さい奏者が無理なく構えやすくするため、U字頭部管(カーヴド頭部管)を備えたモデルがあります。募集先で幼児や小学生を担当する場合には、こうした楽器や貸出用の楽器を扱う可能性も確認しておくとよいでしょう。
求人によって異なります。担当範囲に含む募集もあれば、フルートのみの募集もあります。募集要項の仕事内容の欄で確認できることが多い項目です。
教室に備品や貸出用の楽器があるか、伴奏を講師が弾くのか音源を使うのか、レッスン室の広さや防音の状況はどうか。これらは指導の進め方に関わります。見学や面談の機会があれば、実際に使用する部屋を確認しておくと判断しやすくなります。
フルート講師の求人では、職種名だけで仕事内容を判断せず、担当する範囲を募集要項から読み取ることが出発点になります。対象となる生徒の年代と段階、扱うジャンル、子どもを担当する場合の楽器、レッスン室と設備、楽器の状態について専門の相談先を持っているか。これらは募集先によって異なります。
音楽講師という仕事の全体像や、分野ごとの違いについては音楽講師になるにはで解説しています。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」