フルートを始めたいと思ったとき、最初に浮かぶのは「自分にもできるのか」「何を用意すればよいのか」「独学でよいのか、教室に通うのか」という問いではないでしょうか。この記事では、レッスンを始める前に確認しておきたいことを、目的、身体の条件、レッスンの形、楽器と練習環境の順に整理します。楽器そのものの魅力はフルートの魅力で、音の出し方や練習法はフルートの上達方法で扱っているため、ここでは「始める前の判断」に絞ります。
始める目的によって、選ぶ曲、練習の量、教室に求めるものが変わります。趣味として好きな曲を吹きたいのか、吹奏楽やアンサンブルに参加したいのか、音楽学校への進学を考えているのか、あるいは学生時代に吹いていた楽器を大人になって再開したいのか。目的は途中で変わってもかまいませんが、最初にひとつ決めておくと、教室に相談するときの話が具体的になります。進学を考えている場合はフルートで音大受験もあわせてご覧ください。
当教室主宰の著書『音楽教育のススメ』は、音楽を始める時期に遅過ぎることはなく、上達に何よりも大切なのは本人の意欲だと述べています。大人から始める方も、再開する方も、その点は同じです。
フルートは楽器を直接口元に当てて吹くため、歯並びや顎の形が気になる方がいます。歯並びや顎の形がアンブシュア(口の形)や演奏のしやすさに影響することはありますが、その程度には個人差があり、楽器の当て方も一人ひとり異なります。上の前歯が前に出ている、いわゆる出っ歯の場合や、下の顎が前に出ている場合も、それだけで演奏の可否が決まるわけではありません。気になる場合は、実際に楽器を構え、音を出して確認するのが現実的です。
歯列矯正中の方や入れ歯を使っている方は、器具や義歯の種類・状態によって影響が異なります。演奏の指導者に加えて、必要に応じて歯科医にも相談してください。一律に「問題ない」とも「できない」とも言えないため、個別に確認する事項です。
手については、口元からキイまで無理なく届くかが確認点です。呼吸については、最初は息の多くが歌口の外へ抜け、軽いめまいを感じることがあります。めまいを感じたときはいったん休み、強く吹き続けないようにします。息の向きや量を調整できるようになると、必要以上に息を使わずに音を出しやすくなります。最初に音が出ないことだけで、向き不向きを判断する必要はありません。
フルートは、楽器と教則本があれば一人で始めることもできます。独学でできることは、楽器の組み立て、音階や運指の暗記、楽譜を読む練習など、自分で正誤を確かめられる範囲です。
一方、構え、口の形、息の使い方は、自分では確かめにくく、癖がつくと直しにくい要素です。当教室のレッスン案内でも、構えは一度悪い癖がつくと直しにくいと説明しています。指導を受ける意味は、この「自分では見えない部分」を第三者の目で確認できることにあります。
教室には個人レッスンとグループレッスンがあり、個人は一人ひとりの状態に合わせて進められること、グループは仲間と合奏する機会が得られることが、それぞれの特徴です。どちらが合うかは目的と性格によって変わります。なお、当教室のフルートレッスンはすべて個人レッスンで、初級から上級、受験生までを対象にしています。内容はフルートレッスンの案内をご覧ください。
楽器は、購入するほかにレンタルという選択肢があり、最初から買わなくても始められます。価格帯やメーカー、選び方はフルートの値段で解説しています。教室によっては楽器の選定を相談できるところもあり、当教室でも楽器の選定をサポートしています。
練習環境については、フルートの音は遠くまで届くことを踏まえ、自宅で練習する場合は建物の規約と練習できる時間帯を確認しておきます。自宅で十分な練習が難しい場合は、音楽スタジオや公共施設の練習室を使う方法があります。楽器の練習場所もあわせてご覧ください。
お子さんがフルートを始める場合は、年齢よりも「楽器に手が届くか」「安定して息を送れるか」で時期を考えます。体が小さいうちは U字頭部管や子ども用のフルートで始める方法があり、レッスンの進み方や保護者の方にできることも大人とは異なります。詳しくは子どものフルートは何歳から?で解説しています。
始められます。体格や、肩・腕の状態、歯や口の形には個人差があるため、無理のない姿勢と練習量を確認しながら進めます。趣味や学びとして始めることについて、年齢だけで諦める必要はありません。音高・音大受験など期限のある目標がある場合は、必要な準備期間を個別に確認してください。
レンタルから始めることもできます。購入する場合は、価格だけでなく、調整状態や購入後に点検・修理を受けられるかも確認しておくと安心です。
歯並びや顎の形には個人差があり、それだけで演奏の可否は決まりません。判断するには実際に楽器を構えて確かめる必要があり、歯列矯正や入れ歯について心配がある場合は歯科医にも相談してください。
当教室の体験レッスンは有料です。時間や料金は変更されることがあるため、最新のフルートクラスの案内でご確認ください。
フルートを始める前に確認したいことは、目的、身体の条件、レッスンの形、楽器と練習環境の四つです。歯並びや手の大きさは個別に確かめる事項であり、最初に音が出ないことは向き不向きの判断材料になりません。独学でできることと、指導を受けて確認したいことを分けて考え、楽器はレンタルも含めて無理のない形で用意する。子どもの場合は、体格に合わせた楽器と始める時期の考え方が加わります。まずは実際に楽器を構えてみるところから始めてください。
当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」