五線譜を読むとき、最初の手がかりになるのが「ファラドミ」「ミソシレファ」といった並びです。五線のどの位置にどの音があるのかを、まとまりとして覚えてしまう方法です。ただし、これを覚えれば譜読みが完成するわけではありません。本記事では、並びを覚えるところから、位置を見て直接読めるようになるまでの進め方を扱います。
五線譜には、線の上に書かれる音と、線と線の間に書かれる音があります。この二つを分けて覚えると、位置と音の対応が整理しやすくなります。
ト音記号の五線では、下から順に、間に入る音が「ファ・ラ・ド・ミ」、線の上に来る音が「ミ・ソ・シ・レ・ファ」と並びます。
間の4つは4文字なので、ひとつのことばのように覚えられます。線の上の5つは、間の並びと交互に重なっていることを意識すると、位置関係がつかみやすくなります。
ヘ音記号の五線では、間に入る音が下から「ラ・ド・ミ・ソ」、線の上に来る音が「ソ・シ・レ・ファ・ラ」と並びます。
ト音記号とは並びが異なりますが、覚え方の考え方は同じです。間と線の上を分けて、それぞれをまとまりとして扱います。
五線の上では、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シという7つの呼び名が順番に循環します。ト音記号とヘ音記号では、五線上のどの位置からその並びが始まるかが異なります。
二つの記号を別々のものとして覚えるのではなく、同じ循環を、異なる高さの譜表で読んでいると捉えると混乱しにくくなります。五線譜や音部記号の仕組みそのものについては楽譜の読み方で扱っています。
なお本記事で扱うのは、五線上の決まった位置にある音をドレミで読む方法です。調の中での音の役割をドレミで表す読み方(移動ド)とは、目的が異なります。どちらが正しいというものではなく、場面によって使い分けられています。
並びを覚えることは出発点であって、目的ではありません。実際に楽譜を読むときには、次のような段階を経ていきます。
音符を見たら「ファ・ラ・ド・ミ」と下から順に唱え、目当ての位置まで数えます。時間はかかりますが、この段階では正確さを優先します。
同じ音符に何度も出会ううちに、唱えなくても位置から音が分かる場面が増えてきます。よく出てくる音から順に、直接読めるものを増やしていきます。
最終的に目指すのは、毎回「ファラドミ……」と最初から唱え直さなくても読める状態です。並びの記憶は、そこへ至るための一時的な足場と考えてください。
読譜の力は、練習の中で少しずつ積み上がっていきます。ピアノの練習にどう組み込むかについてはピアノの基礎練習で扱っています。
音の高さと並行して、音符の形も見分けられるようにしておくと、楽譜の情報を一度に読み取りやすくなります。
| 音符の形 | 名称と長さ(4分の4拍子の場合) |
|---|---|
| 中が白い丸だけ | 全音符。4拍 |
| 中が白い丸に棒 | 二分音符。2拍 |
| 中が黒い丸に棒 | 四分音符。1拍 |
| 中が黒い丸に棒と旗 | 八分音符。2分の1拍。複数並ぶときは旗ではなく横線でつながることがあります |
ここで示した拍数は、4分の4拍子を例にしたものです。拍子が変われば1拍にあたる音符も変わりますが、音符どうしの長さの比率は変わりません。
「丸に棒が付いた記号」を調べる方は、中が白いか黒いかで見分けられます。白ければ二分音符、黒ければ四分音符です。音符や休符の意味そのものは楽譜の読み方で詳しく扱っています。
リズムは、楽器を持たなくても確かめられます。リズム譜を見ながら手を打ったり、声に出したりする方法です。
声に出す方法にはさまざまな呼び方があります。たとえば四分音符を「ター」、八分音符を「ティ・ティ」のように声にして、長さや組み合わせを体で確かめる方法があります。呼び方そのものに決まった正解があるわけではありません。
楽器の操作から離れることで、音の長さと組み合わせだけに集中できます。簡単なリズムから始め、手や声で確かめられるようになってから楽器へ移すと、無理なく進められます。
両手で異なるリズムを弾くとき、どの音とどの音が同時なのかが分かりにくくなることがあります。
そのようなときは、右手と左手で同時に音を出す位置を、楽譜の縦方向で確認します。必要に応じて補助線を書き込む方法もあります。これは、左右の音が時間の流れの中でどこに対応しているかを見るための一時的な手がかりです。
縦方向の対応が見えるようになると、片手ずつ練習した部分をつなげるときの見通しが立ちやすくなります。
ト音記号の五線で、線と線の間に入る音を下から並べたものです。ファ・ラ・ド・ミの4つで、4文字のまとまりとして覚えられます。
間に入る音が下から「ラ・ド・ミ・ソ」、線の上に来る音が「ソ・シ・レ・ファ・ラ」です。ト音記号とは並びが異なりますが、間と線の上を分けて覚えるという考え方は同じです。
目的の異なる読み方です。本記事で扱っているのは、五線上の決まった位置にある音をドレミで読む方法です。一方、調の中での音の役割をドレミで表す読み方もあります。どちらが正しいというものではなく、学ぶ内容や場面によって使い分けられています。
中が白ければ二分音符、黒ければ四分音符です。さらに旗や横線が付いていれば、八分音符やそれより短い音符になります。
位置を見て直接読めるようになるまでの間です。並びの記憶は譜読みへ移るための足場であり、外していくことを前提にしています。よく出てくる音から順に、唱えずに読めるものを増やしていってください。
五線譜の音の位置は、線の上と間を分けて、まとまりとして覚えると整理しやすくなります。ト音記号は「ファラドミ」と「ミソシレファ」、ヘ音記号は「ラドミソ」と「ソシレファラ」です。
ただし、これは譜読みの入口です。位置を見て直接読める状態へ進むこと、音符の形とリズムを合わせて捉えることまでを含めて、読譜の力になっていきます。
読譜やリズムを含む音楽の基礎訓練の全体像はソルフェージュとは?で扱っています。

当教室主宰の著書「音楽教育のススメ(幻冬舎)」